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神戸を中心とした地域社会に貢献するNPOビジネスアシストこうべ

SMECアイ−診断士の視点−ESSAY

中小企業診断士としての抱負
                                        HM

はじめに

 今年10周年を迎えたビジネスアシストこうべですが、私はその10周年に入会しました。私以外のメンバーは中小企業診断士の資格を持って活動していますが、私は唯一、未登録で中小企業診断士ではありません(このエッセイの出た数ヶ月後には登録が終わっているはずですが)。これから中小企業診断士を名乗ろうとしている者として、中小企業診断士の紹介方々、抱負を述べさせていただきたいと思います。

中小企業診断士とは

(1)定義
 よく「中小企業診断士は経営コンサルタントに関する唯一の国家資格」と言われます。根拠法は中小企業支援法で、「中小企業の経営の診断等の業務に従事する者の登録の制度を設けること等により、中小企業の経営資源の確保を支援し、もって中小企業の振興に寄与することを目的とする」と規定されています。

(2)試験制度
  1次試験→2次試験→実務補習・実務従事を経てやっと登録になります。
  1次試験は2日間にわたり、次の7科目に関して、マークシート方式で実施されます。「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」私の受験した2011年度は受験者数15,803名、合格者数2,590名(合格率16.4%)でした。

 2次試験はまる1日かけて、ケーススタディーを4題(「組織」「マーケティング・流通」「生産・技術」「財務・会計」)、論述式で解答します。2011年度の受験者数は4,003名、合格者数は790名(合格率19.7%)です。(注:1次試験合格の権利が2年有効のため、1次試験合格者より2次試験受験者の方が多くなります)

 試験合格後、私が只今経験中の、実務補習・実務従事(いわゆるコンサルティング業務)を3社経て、初めて中小企業診断士を名乗ることが出来ます。

(3)私の受験動機と勉強法
 受験の動機は立派なものではありません。同じ会社の頼りにしている先輩が受験をしたことがあると聞き、それなら私も、と思った次第です。経営に関する総合格闘技的な資格で何となくおもしろそう、漠然と社会貢献活動を考えていたのですが「2枚目の(=個人の)名刺」に何か資格を書けたらいいな、位の軽い気持ちでした。

 軽い気持ちだったので、1次試験は専門学校に通わず、独学で市販テキスト・問題集を解いてなんとか合格。2次試験は独学では歯が立たないと聞いたので、慌てて専門学校の2次試験対策の答案練習(4回だけでしたが)に参加。奇跡的に1次合格率16.4%×2次合格率19.7%3.2%の中に入りました。

(4)知名度(私見)
 「中小企業」と名のつく資格の割には大企業で知名度が高いように思います。私の勤務先(某東証一部上場企業)でも、私が合格していることを知っている人は一目置いてくださります。しかし、肝心の中小企業の経営者様と話をすると、「税理士や弁護士は知っているけど、中小企業診断士って何?」と言われたことが一度ならずあり、まだまだ啓蒙活動が必要と思っています。

(5)特徴(私見)
 私は中小企業診断士の特徴は「経営に関する専門性」と「多様性」にあると思います。
 まず、専門性です。幅広くの総合格闘技的な要素があるので専門性に疑問を持たれることがあるのも事実です。しかしながら、私はやはり特徴の一つは経営に関する専門性にあるのではないかと思います。私事ですが、現在、某商材の卸売業を営んでいらっしゃる中小企業様で実務補習を行っています。6名のバックグラウンドの異なるメンバー(試験合格者)がチームとなり、必ずしも自分の仕事とは一致しない業界の企業様をコンサルティングさせていただく訳ですが、時には徹夜をしながらも経営者様にお見せできるレベルの報告書を完成させます。これも、全員が経営に関する共通言語を身につけている証左ではないかと思います。

 次に、多様性です。試験合格後、ビジネスアシストこうべのみならず、様々な場所で中小企業診断士の方と知り合う機会が増えましたが、様々な分野で活躍されている方が多いように思います。例えば、税理士なら税務の専門家、弁護士なら法律の専門家ですが、分野をまたぐ点が他の士業とは違う特徴かと思います。私も僭越ながら会計と英語にはそれなりに自負があります。

 また余談ですが、全く知らなかった社内の別部署の中小企業診断士の方から「社外の人からHMさんのことは名前だけは聞いていたが是非お会いしたかった」と言われ、それをきっかけに社内で部署横断的な中小企業診断士の集まりを開いたり、不思議なつながりもあったりします。

抱負

 きっかけはともかく、中小企業診断士となる以上は、「中小企業の振興に寄与することを目的とする」という本分に則り、社会で貢献を出来ればと思っています。名経営者の一人と称される松下幸之助は「企業は社会の公器である」と言ったそうですが、法人は法的に人格を与えられたに過ぎません。やはり自然人(生身の人間)ひとりひとりが社会をよくしようという思いを持って活動することが大切で、私の場合はたまたまそのツールが中小企業診断士であるのではないかと思います。

 このHPをご覧になっている中小企業の経営者様がいらっしゃいましたら、悩みがあれば、何が悩みか分からなくてもお気軽にお問い合わせをいただければ幸いです。様々な経歴を持った中小企業診断士が在籍しておりますので、きっと「経営に関する専門性」と「多様性」をもってお手伝いできることがあるのではないかと思います。

NPO法人 ビジネスアシストこうべ