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神戸を中心とした地域社会に貢献するNPOビジネスアシストこうべ

SMECアイ−診断士の視点−ESSAY

変 化
                                       TY

世の中の変化

 
 朝、通勤電車に新聞を読んでいて、ふと向かいの席の人を見てみるとほとんどの人がスマホを見ているということがよくあります。すこし前はスマホでなくガラケイの携帯電話でした。昔ならば、新聞、文庫本、雑誌、マンガが主流でしたが、今はスマホが当たり前のものとなっています。昭和の時代の小説を読んでいると、相手との連絡を取るために公衆電話を探すというシーンが出できてなつかしいなと思いますし、最近の警察物の推理小説を読むと、捜査の手法としては、まずは犯行現場周辺の防犯カメラのチェック、携帯電話(スマホ)の履歴チェック、ネットの情報チェック等が主流となっています。(本当にしているのかどうかは知りませんが) 本当に世の中が変わったなと思います。
 その他の日々の生活活動も同様です。買物はショッピングセンターとコンビニに行き、食事をするときは、事前にグルナビ等で検索してみるなど、以前では考えられなかったような行動をしています。また、銀行に行かなくても振込ができたり、コンサートのチケットも発売日に並んだり、電話の前にかじりいたりしなくてもネットで予約ができます。(勿論、ネットがなかなか繋がらないとか、顧客情報の管理を気にしなければならなくなったというデメリットはありますが)


経済活動や個別企業への影響

 生活がそれほど変化していれば当然ながら経済活動や企業にとっても大きな変化が生じて出てきています。
 カメラはフィルムのカメラ主流であったのが、使い捨てカメラができて、デジタルカメラとなり、携帯・スマでも写真が撮れます。そのため、写真フィルムが売れなくなり、世界最大のフィルムメーカーであるのコダックが倒産しました。また、昔は百貨店が小売りの王様と言われていましたが、その後急成長したスーパーマーケットに抜かれました。しかし、そのスーパーマーケットも最近は停滞しており、今はコンビニエンスストアが何回もこれ以上の成長は限界かと言われながらもまだまだ拡大しています。それ以外にも、ユニクロやニトリといった新しい企業が出てきたり、ネット通販が拡大してきたりします。
 個々の企業は、その業界の環境に大きく影響を受けます。その企業が属する業界の主力商品が変化したり、業界自体が新たな業界に取って代わられたりする場合は、かなりの確率で個々の企業も淘汰されます。
 データが少し古いですが、さきほどのデジカメの例でいえば、写真を撮影したという写真ショット数は、デジカメ、写メの普及により平成6年から平成22年の間に50倍になったのに対して、写真専門店はこの10年間で3分の1になったと言われています。このように環境の変化は個別企業に大きな影響を与えます。


変化への対応

 しかし、すべての企業が淘汰されるわけではありません。先ほどのカメラのフィルムの例では、世界で写真フィルムを製造していた企業は、アメリカのコダック、ドイツのアグファ、日本の富士フィルム、コニカの4社しかなく、寡占状況のため高収益を上げていました。しかし、デジタルカメラという技術革新により、銀塩式の写真フィルムはその市場が大幅に減少しました。その中で4社はどのような対応をとったのでしょうか。ドイツのアグファは、X線写真やその解析技術を活用し、プロ用、医療用の写真といったニッチな部分に特化していきました。ニコンは、写真メーカーのミノルタと合併し、デジタルカメラ、複写機の企業として生き残りを図りました。富士フィルムは、ニコンと同様に既存の技術を活用し複写機やプリンターに力を入れるとともに、写真フィルムで蓄積した技術を活用し、化粧品の分野に進出することにより多角化を行っています。アメリカのコダック多角化を図ったようですが、中途半端な結果となり、倒産することになっています。
つまり下記の対応をおこなった企業が生き残ることができ、中途半端な対応の企業が淘汰されました。
     ○ニッチに特化(その業界に残る)
     ○既存の技術を活用して周辺の分野へ進出
     ○持っている技術を活用して全く違う分野に進出

 企業を取り巻く環境が大きく変化した時にその変化を素早く察知し、いかに対応するかが大切です。なにもしないことが一番問題です。

                                                   以上

NPO法人 ビジネスアシストこうべ