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SMECアイ−診断士の視点−ESSAY

防災ボランティア活動とハード整備
                            中小企業診断士 萩原 正五郎


浸水対策ガイドライン


以前に防災ボランティア活動の話をしたが、その後もコミュニティで活動を続けている。数年前、台風と高潮で居住している街区マンションの地下部分に浸水があり、ライフライン設備にかなりの被害を受けた。それを機に、マンション防水対策の検討を独自に進めてきたが、全国的にも同様の被害が拡がり、今般、国交省から「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」が出された。その概要を紹介しておこう。

○背景
令和元年台風19号による大雨に伴う内水氾濫により、首都圏の高層マンションの地下部分に設置されていた高圧受変電設備が冠水し、停電したことにより、エレベーター、給水設備等のライフラインが一定期間使用不能となる被害が発生。こうした建築物の浸水被害の発生を踏まえ、国交省と経産省の連携のもと、検討会を設置し、浸水対策のあり方が検討された。

○ガイドラインの適用範囲
・高圧受変電設備等の設置が必要な建築物での新築時、あるいは既存建築物の改修時等

○目標水準の設定
・建築主や所有者・管理者は、専門技術者のサポートを受け、目標水準を設定
・公表された浸水想定区域、ハザードマップ、地形情報、浸水実績等を調査し、機能継続の必要性を勘案し、想定される浸水深や浸水継続時間等を踏まえ、設定浸水規模を設定
・設定した浸水規模に対し、機能継続に必要な浸水対策の目標水準を設定(浸水を防止する部分の選定等)

○浸水対策の具体的取組
・浸水リスクの低い場所への電気設備の設置
・対象建築物内への浸水を防止する対策
―マウンドアップ、止水板、防水扉、土嚢設置等の出入口等における浸水対策
―換気口等の開口部の高い位置への設置等の開口部における浸水対策
―バルブ設置、マンホールの密閉措置等の逆流・溢水対策
・電気設備設置室等への浸水を防止する対策
―防水区画形成、止水処理材充填等の区画レベルでの対策
―電気設備設置場所の嵩上げ、耐水性の高い電気設備採用等の電気設備に関する対策
―貯留槽設置等の浸水量低減に係る対策

○電気設備の早期復旧のための対策
・連絡体制整備、設備関係図面整備等の平時の取組
・排水作業、清掃・点検・復旧方法の検討、復旧作業の実施等の発災時・発災後の取組

 コミュニティ活動は、活動組織、主体、ルール、連携等、ソフトレベルの構築がもちろん必須である。ただ防災に絡む活動においては、安全性、経済性に直結するハードレベルの対策に住民が如何に主体的に関われるかである。コロナ禍の中、あらためてハード整備の重要性を感じている日々である。 



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