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SMECアイ−診断士の視点−ESSAY

ChatGPTを使って思ったこと
                            中小企業診断士  陸井 浩三


はじめに

 ChatGPTに『ChatGPTをPRしてください』とメッセージを送ったところ、応答は次のようになった。
 − ChatGPTは、OpenAIによって開発された強力な自然言語処理モデルです。ChatGPTは、大量のテキストデータを学習して、人工知能アシスタントとして、様々なタスクを実行することができます。要約、文章生成、質問応答、翻訳、文章の感情分析、文章のジャンル分類など、多様な自然言語処理タスクに対応できます。ChatGPTは、24時間いつでも利用可能で、正確かつ迅速な回答ができますChatGPTは、教育、ビジネス、エンターテインメントなど、さまざまな分野で活用され、人々の生活を豊かにすることができます。 −

ChatGPTをめぐる議論
 ChatGPTについては、開発のスピードが速すぎてコントロールできる限度を超えているとして、開発を一時停止するよう、あのイーロン・マスク氏が発言している。しかし、同様のサービスはグーグルやマイクロソフトも開発中で、開発スピードがさらに上がることはあれ、一時でも停止することなど考えられないだろう。
 確かに、「人間の仕事を奪う」「人の考える力を奪う」といった人に対するネガティブな意見や、「間違った情報が伝わる」「武器の製造技術など負の情報にアクセスできる」などといった情報伝達のあり方について問題定義がなされている。新しい技術に対してはいつの時代も懐疑的な意見が交わされるものであり、ある意味健全な世の中の反応である。しかし、これらの議論や技術的な方向性は有識者と呼ばれる方々にお任せすることとして、ここでは私が感じたChatGPTの印象をついて話をしてみたい。

ChatGPTを使って感じたこと
 ChatGPTを使って私が感じたことは単純に「面白い」ということ、そして「これからどこに行くのだろう」という期待感である。インターネットにおける「問合せ」という行為はGoogleなどの検索サイトの出現で既に広く一般化され、だれでもが使う普通の機能になっている。だが、「問合せ」というインターネット上の行為は答えを直接返してくれるわけではなく、答えにたどり着けそうなサイト(本や文献を含む)を見せてくれるものだ。
 これがChatGPTでは、正しいか正しくないかは別として、少なくとも何らかの返事を返してくれる。回答をカスタマイズして、より丁寧にわかりやすい文章で応えようとしている。問い合わせして答えるだけの1往復のやり取りであり、まだまだ稚拙であるものの、そこには一種の会話のようなものが成り立っている。こういう関係は、いつかどこかで見たことのある情景に近い。古い映画では「2001年宇宙の旅」のHAL、アニメでは「バビル二世」にでてくるコンピュータなど、今までさんざん楽しんできた人とAIとの会話のシーンが、現実の世界に一部切り出されているように見える。
 
 人間とAIとの会話
 人間とAIとの会話について、創作のネタになったものは枚挙にいとまがないが、私が知っている作品だけで考えてみても、AI側はほぼ全知全能の塊で描かれていることが多い。人が情報を得るために、人が判断を下すために、なんでも知っていて、なんにでも応えてくれる存在、時には召使のようであったり、友人や先生のようであったり、あるいは神のごとく万能の存在として描かれている。一般的に人というのは、自らを安全に守ってくれる存在や導いてくれる存在、優しく寄り添ってくれる存在が欲しい。おそらく、暗黙のうちに全知全能で万能の塊が自分の傍らに実在してほしいと望んでいる。又は、そのような存在を心の底で畏怖してもいる。過去から今に至るまでの創作の世界で、AIを題材にした描写が多いのはきっとその現れでもあるのだろう。
 世界に広がったインターネット網により世の中にある情報が一様につながるようになり、それらを大容量のストレージで収集できるようにもなった。そして、小型化され高性能化されたCPUによって短時間での演算処理が可能になっている。これらを支えてきたのは、半導体集積回路の集積率は18ヶ月で2倍になるというムーアの法則にそった開発競争である。この法則自体がこれからも続くかどうかはわからないものの、これからも間違いなく激しい開発競争が続いていくはずである。今のところは単純なやり取りしかできないものの、ChatGPTのようなサービスの機能や使い勝手はさらに高まっていくことに間違いはない。人からAIに尋ねるばかりではなく、AIから質問や感想をうけるなど、一種のコミュニケーションに近いものが早晩生まれてくるだろう。創作の世界にだけにあった人とAIとのコミュニケーション、リレーションシップが、現実の世界でも見られるようになるに違いない。
 
 これからへの期待
 おそらく、このように思い描かれる環境について、人間性を排除した恐怖の世界ととらえる人も多いことだろう。しかし、私は新しい人の可能性が開け、平和で安全、世界中の人にとってよりよい世の中につながっていくと捉えたい。今までも、人類の歴史の中ではいろいろな発明や発見を繰り返してきた。それらの中には人類にとってマイナスの側面があるものも多いが、総じてプラス側に作用したものの方がはるかに多いだろう。このAIの発展の行方も、きっと人類の発展に貢献されていくものであり、欠かせないパーツとなることだろう。ワクワク感をもって見守りたい。
 映画「ターミネーター」のスカイネットは、文明を否定し、人類を虐殺することになる。アニメ「サイコパス」のシビュラシステムは、潜在的な人の善悪をシステムが判定し、社会を統治していこうとする。
 さて、現実の世界はどこに向かうのか、とても楽しみである。
 


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