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SMECアイ−診断士の視点−ESSAY

衣替えの季節に思う「整理」
                                       KO

はじめに

 気温もあがり、初夏を感じる今日この頃。さあ整理の季節です。
 女性の間で「断捨離」「持たない暮らし」が流行りだしたのはいつだったか。とうとうその熱はアメリカまで席巻中。ポイントは残すものと、処分するものを見分けること。「片づけコンサルタント」なる人が家までやってきて一緒に手伝ってくれないとなかなか整理できない。わかってはいるけれど、みんなができていないからこそ流行が続くのかもしれません。

工場・企業にとっての整理

 わかってはいるけれど、みんなができていない「整理」。生産管理的にいえば「5S」。整理は最初の「S」にあたります。私は300を超える工場にお邪魔し、品質管理レベルを判断する業務を行ってきました。管理レベルを判断する指標の一つが整理です。生産に不要な機器・備品が工場内にあれば、それだけで管理レベルを疑います。少し大げさに聞こえるかもしれませんが、経験上、外れはありません。使わない大きな機器が作業の効率を著しく下げている、不要な機器に水が溜まりそこから虫が大量に発生しているといったことを目にします。そのような工場に多くみられるのが、ルールを逸脱していてもチェックが入っていない、そもそもルール自体が何のためにあるのかわからないといった問題です。日々の業務の中でそれがそこにあることが必要なのかどうかを考えない、違和感に鈍感であるということは品質管理上、大きなリスクをはらんでいます。また、ある小さな組織では、古い売れない商品を山ほど抱えていて倉庫代が負担、資金繰りも厳しくといった相談を受けました。何が問題なのかは一目瞭然です。

整理を進めるには

 整理は管理の基本、といわれてもさすがに組織では処分するものを「ときめき」で判断するわけにはいきません。「今は使っていないけれどいつか使うかも」という家庭レベルの逡巡から、「私は使っていないけれど他の人は使うかも」、「そもそも固定資産だから処分できない」、「私が処分しなくても誰かがやってくれるだろう」など、進まない理由は山のようにあります。資金繰りが厳しいといった事情があれば話は別ですが、一般的にはとりあえず不用品に期限を決めて、決まった場所で管理するのをお勧めします。一定期間を過ぎれば処分する、とすれば案外と簡単に不要なものが集まってきます。それでも無理な場合は・・・・
「片づけコンサルタント」、つまり外の目を使うのも一案かもしれません。外の目といってもコンサルタントを雇う必要はありません。新入社員や異動者の違和感を活用しましょう。彼らの外の目は、処分するものを見分ける大きな力となってくれるでしょう。

終わりに

 実は私も1月に組織の中で異動になったばかりで、外の目の違和感を活用中です。「これは何?」「何故ここにあるの?」を繰り返してチームのメンバーに引かれ気味。整理は朝の10分と決めて、嫌われないようにしないといけません。わかってはいるけれど、終わりのない課題になりそうです。


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