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SMECアイ−診断士の視点−ESSAY

シンガポールの友人との交流に思う
                             中小企業診断士 村上 顕

息子

 昨年2014年6月から息子がシンガポールへ赴任している。時々日本へ出張で戻って来る。今回も女性現地スタッフ2名と比較的長期で戻ってきている(神戸ではない)。そのうちの1名を関空へ送るので、途中会う時間が取れた。2名のスタッフが両方とも来ており、息子とも久々に話が出来た。
 
語学

 息子は全く語学には縁のない理科系人間である。当然海外生活など経験はなかった。今回戻ってきて、2名の女性スタッフへいろいろ英語で話をしている姿は驚きであった。話さないわけにはいかないという環境が人を育てたのであろう。それにしても、英語という言語はそれを知っているだけで世界のいろんな方々と話が出来る。すばらしい言語である。
 
シンガポール
 赤道直下にあり、正式にはシンガポール共和国という。マレー半島の先端にあり、もともとマレーシアであった。物の資源がないが、人という資源をフル活用して交易やコンベンションなどの中心的位置を獲得して先進国となっている。大半が中華系で、中国語、英語を使う人が多いそうである。年がら年中熱帯で暑く、蒸している。しかし、日本より住みたい所の序列は上。駐車場や高速道路の決済なども進んでおり、プリペイドタイプなのかクレジットタイプなのかわからないが、とにかく現金をあまり使用しないで済むらしい。
 
異文化
 今回来ている2名を時間はあまりなかったが、日本を紹介する意味で京都へお連れした。そばを食べてもらった後、あまり遠くへはいけなかったが、東本願寺とその庭園である渉成園へ行った。残念なことに東本願寺は阿弥陀堂が修理中であったが、御影堂は中へ入った。大きな畳敷きの仏教寺院に2名は驚いていたが、一番驚き、興味を持っていたのが、意外にも龍であった。手水舎のモニュメントが龍である。中国では龍というのはメジャーであり、かなり中心的な想像上の動物である。大体、欧米系の方は建物にも感動する傾向にあるようだが、中華系はやはり龍なのであろうか。また、渉成園では明治時代の建築物(純日本風が多い)、池泉回遊式の庭園、茶室などをゆっくり見た。ここでも、建物関係では茶室、井戸、その他では、桜の木、柑橘系の木や鯉、鴨に興味を示していた。しかし、一番喜んでいたのは、ダイコクドラッグだった。それから、一旦大阪に戻り、息子が泊まるホテルに預けておいた荷物をもって空港へ向かうため新大阪駅の土産物売場をみる。チーズケーキを・・というので、帝塚山のものや「りくろーおじさん」のもの等こちらでおいしいといわれているものを食べてもらったが、どうも味が薄いらしい。一つは私がひと箱購入して食べてもらったのだが、いやなものはいやなのである。申し訳ないということは言っていたが、結局何も買わなかった。日本人なら悪いから一つ買うだろうが、文化の違いであろうか(人によるかもしれないが)。しかし、すでに買っている土産を見せてもらったら、甘栗、いかの天ぷら、化粧品のパックなど面白いものを購入していた。

教育
 今回の2名は、仕事はいわゆる工員さんである。中学卒業くらいの学歴という。であるから息子はペーペーだがエンジニアと尊敬されていた。先進国とはいえ、格差はやはりあるのだろう。日本は、そういう面ではかなり公平でチャンスはあるように感じる。ただ、両者とも中国語と英語ができ、マレー語も少し話す。特別な教育はされていなくても、実生活で培われるものだ。学校教育と実生活での教育。どっちが本当に役立つのであろうか。

中小企業の社長と大会社の新人
 私が、お付き合いしている多くのたたき上げの中小企業の社長は、仕事からだけ学ぶという側に入るかもしれない。大企業の新人社員は逆に理論だけの側である。中小のたたき上げの社長は、口ではいくらでも説明したり話したりできる。しかし、書類に文章化することに手古摺る人が意外と多い。一方、大企業の新人の場合、理論はしっかりしているが、それは実際にはすぐには役に立たない。やはり、理論と実践の両輪が必要なのであろう。昔、本田総一郎さんが、「たたきあげで作り上げた腕があったが、やはり理論が必要」と改めて学校に進学されたことがあると聞いた。ここにいう社長も新人諸子も両方を目指すべきだろう。バランスが大切である。
 いずれにしても日本には教育を受けられる環境がある。その意味では、国内で無名な学校とか無名な学部を出ていていわゆるいい会社に就職できなくても、視野を世界に向けてみればいくらでも彼らの力を求めているところはあるのではないか。もっと大きな視野と志を持つことも大切であろう。


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