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神戸を中心とした地域社会に貢献するNPOビジネスアシストこうべ

SMECアイ−診断士の視点−ESSAY

防災ボランティア活動を通して思うこと
                             中小企業診断士 萩原正五郎

防災ボランティア活動

私の住んでいるニュータウン(NT)で数年前から防災のボランティア活動をしている。このNTでは20街区以上の居住区を持ち、現在2万人近くの住民が住んでいるが、全体に防災意識が高く、全居住者を対象とした防災訓練や防災担当者会議等、地域全体での防災活動が活発に行われている。私はその中で、700戸余りの街区での防災ボランティアとして活動しているが、コミュニティ活動の一環として、日々興味深い経験をさせてもらっている。

集合住宅群のメリットとデメリット

街区と言っても、13住棟の集合住宅群(一部非住宅もあり)であり、街中の戸建住宅や店舗等が混在している地域とは相当異なり、地域活動がしやすい特徴がある。また建物もRC造で比較的火災や自然災害に強く、日頃からの管理体制、管理施設も整っており、NTとしてのメリットも多い。しかしその反面、それが故のデメリットも目につく。その1つが「居住者」に関わる問題である。集合住宅は居住者にとって運命共同体であり、特に緊急時には好むと好まざるに関わらず、共助が生活の必須条件となる。このことは言葉や頭では理解しているが、我々はどれぐらいその重要性を身体で認識しているであろうか。防災訓練やイベントを通して、防災意識を高めたり、居住者同士が知り合い親しくなるのは確かに有効で、まずは行うべき手段であるのは間違いない。しかし緊急時での安否確認、避難行動、負傷者等の救出、救護活動を効果的に行うには、通り一遍の訓練やイベントでは緊急時にどれだけ有効かははなはだ疑問である。

地域防災と福祉の視点

私は常日頃から、地域防災は「福祉」の視点が切り離せないと思っている。最近でこそ防災と福祉の一体化を目指した「防災福祉コミュニティ」と言う単語が目につき始めたが、正に当を得たキーワードである。一般的に「福祉」は幅広い概念を持つが、緊急時においては特に高齢者、障害者等の弱者に対して、目に見える具体的な援護活動がどれだけできるかにつきると思われる。これを効率的、実践的に行うには、平常時からの住民通しの信頼関係、つきあい、連携が醸成されていなければならず、この流れの中で、緊急時に安否確認、避難行動、負傷者等の救出、救護活動を行うという仕組みである。

当街区では数年前から毎年全戸を対象に団地管理組合において「緊急時対応名簿アンケート」を行っているが、このアンケート調査は共助活動を目的に、緊急時における居住者の要援護要望を聞いたものである。さらに昨年度は神戸市と協定を結び、神戸市における災害時要援護者登録調査を付加し、まずは正確な要援護者の具体的な実態を把握することから始める必要がある。

以下、現在行っている当街区での要援護者援護活動の手順を紹介しよう。
@ 組合理事、街区ボランティアによる要援護者名簿把握
A アンケート等調査回答内容による、支援レベルの分類
B 要援護者への訪問、詳細ニーズの聞取り
C 訪問、聞取り内容の分析、整理
D 街区内の新たな防災・福祉サポーター(支援者)の募集、呼掛け
E 平常時、緊急時の救護活動内容の検討
F 平常時からの顔の見える関係構築
G 緊急時を想定した防災訓練

防災ボランティア活動は奥が深い。日々貴重な経験をさせてもらっている。



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