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神戸を中心とした地域社会に貢献するNPOビジネスアシストこうべ

SMECアイ−診断士の視点−ESSAY

ゴミ出し支援で思うこと
                            中小企業診断士 萩原 正五郎


はじめに 要援護者とは


団地や集合住宅での高齢化が言われて久しい。高齢化問題では、コミュニティ活動の停滞や役員の担い手不足等の問題が特に顕在化しているが、今回は身近な要援護者問題について考えてみたい。

要援護者とは、神戸市の基準では、
・介護保険の要介護度3以上の方
・身体障害者手帳1・2級を所持する方
・療養手帳Aを所持する方
・65歳以上の単身世帯
・75歳以上の方のみの世帯
・その他(要援護者支援団体が希望する方であって、市長が認める方)
となっている。つまり高齢者に限らず、誰でも要援護者になると言うことである。

要援護者に対するゴミ出し支援の事例

要援護者になると、日常生活においていろいろと問題が出てくるが、そのひとつ、身近な問題として、ゴミ出しがある。特に高齢者世帯になると、普段の歩行も困難で、さらにものを持ったり運ぶのに苦痛を伴う人が想像以上に多い。ではその支援はどうなっているのであろう。最近、ゴミ出し支援を行っているグループの意見交換会に出る機会があった。いろいろな地域では、次ぎのような支援をしているようだ。(チラシより)

◇A地域
5年前より活動し、現在でも継続している。民生委員が見守り調査で訪問した際に、ゴミ出しお手伝いが必要か否かを確認し、必要だと言われたら方に、民生委員が申込手続きをする。〇〇ボランティアが実際のゴミ出しのお手伝いを行う。発足当初は依頼する側が気を使うことを考慮しお金を徴収していたが、途中からお金をいただくのは面倒だとのことで、現在では無料でもお手伝いを行っている。現在でも新規で利用したいと希望する方もいらっしゃるとのこと。狭い地域だからこそ可能なのかも知れないとのこと

◇B地域
住民同士でお手伝いしていたがお手伝いする側(ボランティア)の担い手がいなくなり、利用していた人全員に説明し〇〇〇の「〇〇タッチ」に移行した。

◇C地域
以前、NPO〇○○ネットワークが協力して始めたゴミ出し支援の活動があった。利用する側が回数券を購入し200円支払い、内100円は事業者に入る。主催者側がボランティア養成のために5回程度講座を行い、当時は登録者数も多かったが採算が合わず厳しい状況に陥り、終了した。

◇D地域
〇〇山に登る登山者がゴミ出しを支援することがあったと聞いたことがある。

支援に必要な信頼関係

私の住んでいる団地でも、数年前から自治会でゴミ出し支援の助け合い制度ができ、活動を始めているが、まだ利用者はその一部のようである。利用者が少ない主な原因は、ニーズはあるが、まだ支援する人、サポーターが少ないこともあるけれど、ゴミという極めてプライベートなものを、見ず知らずの人に頼みにくいと言うこともあると思われる。ゴミ出し支援は、単にゴミ出しを手伝うというのではなく、同時に見守りを行うことが求められており、支援する人と、支援される人との信頼関係がないと長続きしない。つまり顔見知りになり、普段から言葉を掛け合う間柄が必要なのであろう。

コミュニティでの交流の必要性

今後、ゴミ出しに限らず、要援護者へのニーズはますます増えてくる。ポイントは支援する人、サポーターを如何に増やしていくかである。実は支援したいと思っている人も、少なからずいる。つまり、地域コミュニティ内での支援者と要援護者のマッチングが重要で、例えば懇親会、カラオケ大会、映画鑑賞会、勉強会等を行い、幅広い参加を呼びかける機会を多く作ることが重要である。

気軽に参加できるような機会が増えると、サポーター側も顕在化してくるとともに、「お互い様」という意識が生まれてくる。この「お互い様」というのは、支援者が将来要援護者になるからお互い様というだけでなく、その時点での交流そのものが、支援者も要援護者に「精神的に」支援してもらっている、励まされている、見守られていると言うことでなのである。そういう共通認識ができれば、自ずとサポータ−が増え、無理のない交流が生まれ、自然と見守り状況が拡がっていくのであろう。
ゴミ出し支援から始まる、コミュニティにおける「お互い様」精神が、キーワードと言うことだ。




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