企業内診断士
日本中小企業診断士協会連合会の調査によると、中小企業診断士のうち、独立しているのは約半数とのことである。残りの半数はいわゆる「企業内診断士」であり、私もそのうちの一人である。いずれは独立しようと思っているが、中小企業診断士となって12年たっても未だ会社員を続けている。但し、業界は電機業界、化学業界、自動車業界と変わっている。中小企業診断士の資格を維持するためには、中小企業に対する経営診断を行うことが必要だが、その機会を得るのも難しい。そのような中、会社員を中心としたチームとして中小企業の経営診断をさせていただく機会を得た。
自動車業界の中小企業
経営診断の機会をいただいた企業は自動車業界に属している。会社が特定されない範囲で概要を記すと、その企業は従業員10名程度の自動車部品を作っている会社である。自動車業界ではOEM(完成車メーカー)を中心とした階層(Tier)があるが、社長も取引先そのものが中小企業で自社はTier4(4次下請)ぐらいではないかと、全体像がつかめていないとのこと。昨今、インフレで材料費・労務費が高騰する中、特に下請法が適用されている中小企業には適正に大企業から価格転嫁がなされているか、公正取引委員会や中小企業庁が目を光らせている。私の知る限り、Tier1・2位までは一定程度の価格転嫁がなされているが、同社ではなかなか価格転嫁が認められず、非常に厳しい状況に置かれているとのこと。また、長期間使わない金型を仕入先に保管させる問題も、最近OEM最大手某社が無償保管をさせていたと新聞報道があったものの、基本的には解消方向と理解している。しかしながら、その会社ではまだまだ無償保管が続いているとのこと。また、同社では後継者がはっきりとしないため、金融機関からは様々な売却の提案がなされているとのことであった。
経営診断の提案内容について
こちらも詳細を割愛させていただくが、私は自働車業界全体の整理をさせていただいた。別の者は下請方との関連性も踏まえながら価格転嫁のアドバイス、また新規事業参入のアドバイスをさせていただいた。また別の者は会社を売るときのアドバイザーの使い方、また逆転の発想で逆買収の提案をさせていただいた。
社長の提案評価について
提案先の社長様からは次のようなコメントをいただいた。
「詳細分析いただいたうえで具体的な提案をいただき、提案内容に満足している。」
「新たに明らかにになった課題はなく、どれも実際に感じている事であったが、具体的な提言や数値化されていて分かり易くなっていた。その為、改善の項目が絞り易くなって、今後に生かせると考えている。」
「客観性もあり、違った目線から考えるきっかけになった。」
今後について
中小企業診断士は中小企業支援法第11条で次の通り規定されている。
「経済産業大臣は、中小企業者がその経営資源に関し適切な経営の診断及び経営に関する助言(以下単に「経営診断」という。)を受ける機会を確保するため、登録簿を備え、中小企業の経営診断の業務に従事する者であつて次の各号のいずれかに該当するものに関する事項を登録する。」
私は当面、本業は会社員を継続、「中小企業の経営診断の業務に従事する者」の役割は限定的になりそうである。しかしながら、会社員であるからこそ得られる情報、中小企業様に提供できる提案もあると思う。活動範囲が限定的で十分時間を取れない中ではあるが、改めて社長がお持ちの課題認識があっているかどうか、社長の経営改革の方向性が正しいか、客観性をもって確認、後押しする役割は果たせるのではないかと思う。今後も、中小企業支援法の精神にのっとり、何らかの形で電機業界・化学業界・自動車業界を中心とした中小企業様の経営改善に貢献ができたら幸いである。