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NPO法人 ビジネスアシストこうべ
SMECアイ−診断士の視点−
ESSAY
選挙とインボイス制度
中小企業診断士 TM
はじめに
先日の参議院選挙では、物価高対策として「現金給付か減税か」が一つの争点となっていた。減税については「消費税減税」を掲げる政党が多かったが、中身は、「廃止」、「5%へ引き下げ」、「食料品を0%」など、様々であった。これらの話題が出る中で私が気になったのは、「軽減税率」である。
軽減税率とは
軽減税率は、2019年10月1日に、消費税率が10%に引き上げられたタイミングで導入された。軽減税率の対象は、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」であり、税率は8%である。目的は低所得者の負担軽減とされている。しかし、中小企業を含む事業者にとっては、この軽減税率は非常に厄介な存在である。その理由は、2023年10月から導入された「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」にある。
適格請求書等保存方式(インボイス制度
)
消費税は、売上にかかる消費税から仕入れにかかる消費税を控除した残額を納めるわけだが、インボイス制度導入後は、「適格請求書(=インボイス)」がない場合は仕入税額控除を受けられないこととなった。つまり、適格請求書がないと納める消費税が増えてしまうことになる。この適格請求書を発行できるのは、国から登録を受けている課税事業者のみであり、免税事業者は適格請求書を発行できない。こうなると、企業としては「仕入れ税額控除が可能な課税事業者とだけ取引しよう」という心理が働くため、免税事業者が企業間取引から締め出されてしまう可能性が高くなってしまう。
インボイス制度の激変緩和措置とその問題点
これを防ぐために国は10年間の激変緩和措置を設けた。最初の4年間(2019年10月〜2023年9月)は、10%と8%を区分記載した請求書を保存することを要件に、免税事業者からの仕入れにかかる消費税を全額控除可能とした。続いて次の3年間(2023年10月〜2026年9月)は、免税事業者からの仕入れにつき80%控除可能とし、最後の3年間(2026年10月〜2029年9月)は、免税事業者からの仕入れにつき50%控除可能とした。国としては、「この10年の間に、免税事業者は課税事業者になってください」ということのようである。ちなみに課税事業者になるのは「前々年(度)の課税売上高が1,000万円を超えた事業者」だが、1,000万円以下でも選択すれば課税事業者になれる。
話は細かくなってしまったが、上記経過措置の影響により、企業、特に中小企業にとっては、課税事業者と免税事業者の取引を分けて会計処理・税務処理をしなければならず、非常に事務負担が大きい。今後、経過措置がなくなった際には、免税事業者が取引から排除されるリスクが再び増加するのではないかと思われる。
インボイス制度の行方
このように、現状、企業はこのような事務処理負担、納税額増加負担を背負わされているのだが、選挙で、ある党が主張していたように「8%の軽減税率を0%にしてくれたら、インボイス制度も廃止になるではないか?」と少し期待を抱いてしまった。軽減税率、つまり複数税率に対応するためにインボイス(適格請求書保存方式)が生まれたので、軽減税率がなくなれば、元に戻って、事務処理が楽になるはずだが、選挙結果をみると、期待は持てそうにない・・・。
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